「本当に申し訳ありませんでした」
「なんでミョウジが謝んの？」
「だって松川とこんなことするなんて、なんか申し訳なくて。ていうか記憶が全然ない！」
「そりゃー俺だって普通に男だし。据え膳食わぬは男の恥ってね」
「いや、でもさ……」
「それに俺がはめたのかもよ」
「は、はめた」
「酔って頭バカになってるミョウジを家まで送るよって言って飲み会抜け出して。少し付き合ってってバーに寄って」
「確かに、バーに行ったよね？」
「甘くてきつい酒飲ませて、休憩しようかってホテルに連れ込んで」
「え、えー？」
「酔っちゃった？ 大丈夫？ って心配するふりして服脱がせて」
「……いや、いやいやいや」
「キスしたらミョウジ、もう完全に、」
「わー！ 松川！ まって！ やめて！」
「なんで？ ミョウジがどう乱れたか説明したら思い出すかもよ？ 好きな体位とか感じる場所とか」
「わー！ わー！ まって！ 思い出せないというか、思い出したくないというか、なんというか！？ シャワーあびまする！」
「どうぞー」
「ま、松川さん！？」
「どうしたー？」
「浴室に嘔吐物を洗ったような衣類がかけてあったんですが！？」
「昨日俺が洗ったやつだねえ」
「もしや私はかなりの醜態をさらしたのでは！？」
「まあ、俺が見誤って飲ませすぎた責任あるし」
「もしや何も無かったのでは！？」
「ミョウジがゲロ吐いて寝ちゃったからなあ」
「ギャー！」
「女の子が土下座なんてするもんじゃないよ？」
「本当に申し訳ございません」
「まあ、キスしたのは本当だし」
「……え？ じゃあ私キスしてゲロ吐いたの？」
「んー？ キスしてからホテルに来て吐いたのかもよ？」
「え、」
「キスしてヤルことやってから吐いたのかもよ？」
「ま、まつかわさんー」
「ほら、頑張って思い出せー」
きっと何もありませんでした。
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